マネーは呼んだが国民多数には無縁(8月29日付朝刊2面「安定政権、マネー呼ぶ」に思う)

安倍首相が辞任表明した。持病の悪化が理由とのことで、本人は残念だと思うし、首相の責務を果たせなくなったことを潔く受け入れ、退陣を決断したことには敬意を表したい。首相が推進した政策は多岐に亘るが、アベノミクスと総称される経済政策と安全保障政策が、在任期間中の日本のあり方に大きな影響を与えたと思う。アベノミクスについては人為的な円安株高政策により世界からマネーを日本市場に引きつけた。日経2面のグラフに記載の通り、第二次安倍政権発足後7年半で株価は2倍強に上昇している。しかし問題は、一時20兆円以上買い越した外国投資家がここ数年売りに転じて、直近ではほぼ政権発足以来の買越しが消えてしまったことだ。替わりに買っているのが、政府の意を受けた日銀と年金基金。外国勢が高値で売り抜けた後、売るに売れない状況に陥ることが懸念される。株が上がると、何となく景気が良いという雰囲気が漂うが、株高から直接受益できる国民はわずかだ。円安株高を受け企業業績は史上最高の水準に達したが、法人税率の引き下げで法人税の水準はバブル経済時に到底及ばず、安倍政権が企業に求めた賃上げも不発に終わった。設備投資にも慎重な上場企業は、稼いだマネーを史上空前の内部留保という形で抱え込んだままだ。これは新型コロナの影響による厳しい経済状況を耐えるには役立つだろうが、国民全体はアベノミクスによる株高と企業業績向上の恩恵を受けられずに終わってしまったということだ。
安全保障面では、安倍政権は強引な手法で解釈改憲を推し進め、歴代自民党内閣が違憲としてきた集団的自衛権を法制化するところまで踏み込んだ。その本質は、日米同盟への無条件の信頼と傾倒、その一方での隣国に対する強硬な態度であり、トランプリスクを抱え込んだ米国一辺倒の危険な賭けと言える。
これらの経済政策と安保政策が、ともにコロナ禍によって完全に行き詰まった状況にあっただけに、安倍政権は首相の健康問題が無くても、カウントダウン状態だったと見ることもできる。後継政権が、国民のためと標榜しながら一部のための政治を強引に進めた安倍長期政権の反省に立ち、国民本位の方向転換を行うよう見守りたい。

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