企業は自発的には賃上げしない(9月21日付社説「持続的に賃金を上げていく道を考えよう」他によせて)

政府と経営者、労働者の代表による「経済の好循環実現に向けた政労使会議」の初会合が9月20日に開かれ、日経は翌朝の社説で賃上げ問題を取り上げた。2012年の一人あたり現金給与総額はピークの1997年に比べて1割以上減っており、賃金をいかに増やしていくかが大きな課題という認識は至極もっともだと思う。しかしその次に賃上げは民間企業自身で実現するもので、収益が伸びなければ安定的な賃金増は見込めないとして、政府に更なる収益環境の整備を求めている点はいただけない。
水野論説副委員長が9月22日付10面/中外時評「かすむ成長戦略の主役-企業は自ら停滞感打破を」で指摘している通り、3月期決算上場企業の手元資金は3月末で66兆円と過去最高を更新。非上場を含む民間企業(除金融)の現預金残も6月末で220兆円と一年前より6.9%増えた。しかるに製造業の設備投資は3四半期連続でマイナス。21日付3面に掲載された通り、労働分配率は4-6月期で63%と、金融危機前の2008年4-6月期以来の水準に下がっている。要は企業は収益があがり、手元資金も潤沢となり、設備投資需要が無くとも、易々とは賃金を上げないのだ。このことは過去の事実が証明している。
賃金は企業自らがコントロールできる経費の主要項目として、好景気が続いても上がるのは一番最後で、少しでも景気悪化の兆しが見えれば、割りを食うのは一番最初。日本は労組が企業別に組織されていて賃上交渉力が弱いうえ、組織率も低下の一途。雇用の非正規化も進んでおり、政府が強力なイニシアチブを発揮しない限り、持続的な賃上げ、さらには消費拡大、デフレ脱却にはつながらないのではないだろうか。
過去にない方策を取らないと、過去に例を見ない長期のデフレからは脱却できない。

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