安定はゆでガエル(7月17日付朝刊4面「年金関心層も自民最多」に思う)

参院選も最終盤。年金や社会保障、景気や雇用など、暮らしに関する政策を投票判断の際に重視する有権者が多いのはいつも通りだ。本記事では、関心事項のトップにある年金や社会保障を重視する有権者層で与党への支持が多いと報じている。メディアは野党が分裂して頼りないというイメージを振りまいているので、無理もないのかもしれないが、よく考えるとこの行動は矛盾していないか。戦後の大半の期間において、自民党は政権与党として日本に政治を担ってきた。自公連立という枠組みも1999年に発足し、民主党が政権を取った一部の時期を除いて、政権与党の座を維持している。ということは。今日の日本の相当部分は現与党が築いてきたということ。一方少子高齢化や生産年齢人口の減少、国際競争力の低下など、今日の日本が、未曾有の危機に直面しており、これを乗り切るための大胆な舵取りを必要としている。有権者の多くは、安定を求めて実績のある与党に投票と考えているようだが、今日の危機的状況に至らしめたのは与党の舵取りの結果だ。ということは、ここで安定を求めて現与党に政権を継続させるという選択をするということは、与党が大胆に変化しない限り、ジリ貧に陥り、いわゆるゆでガエルになるリスクを孕んでいると言わざるを得ない。昔の自民党なら、政権を担当する派閥の入れ替えで、突然別の党のように振る舞うこともできたが、一枚岩の安倍一強政党となった今日の自民党には、その変化は期待できない。となれば、変化を求めるなら、政権担当経験の乏しい野党に政権を担当させるリスクを取ってでも、政権交代を実現するしかないということにはならないか。安定は楽だが、時として惰性に陥り、ゆでガエルにもなり得ることを、よく自覚して、とりあえずではなく、意識的に選択する必要がある。

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